脱走ダックス物語
その犬は黒いスムースのダックスフンドで、成犬になってもかなり小柄なタイプ(カニンヘン・ダックスフンドという種類らしい)なので、いつも飼い主のおじーさんとお散歩をしている時、とてもおとなしくて可愛らしい印象でした。
みんとさんと公園のお散歩中に時々会うので顔見知り。その日も、みんとさんがクローバーいっぱいの芝生の広場で遊んでいる時、横の遊歩道を行くのを見かけましたが、おじーさんの2m位後をとことこ☆歩いていました。おじーさんの手にはフレキシブルリード(伸縮性のリード)の持ち手が見えましたが、ダックス君との間にリードがあったかどうかは確認出来ませんでした。と言うのは、このおじーさんは公園内で首輪からリードを外してしまうことが良くあるからなのです。
広場で遊んでいる時はともかく、木がうっそう茂って昼なお暗いような遊歩道を歩く時に出会うと、りどみぃ内心はらはらしていました。だって、ダックス君の被毛の色は黒いので、暗い木の根元付近にいるとその存在が確認し難いのです。その遊歩道はウォーキングしているお年寄りやジョギングしているランナーも多く、そんな方々の足元を急にダックス君が横切ったりしたら、ぎょっとした人が転倒して怪我するかもしれないからです。
もちろん、同じ遊歩道をロングリードで行くりどみぃとみんとさんにも同じことが言えるので、りどみぃは前後の人影には常に気を配り、人影が数十メートル先に見えた時点で遊歩道の端っこに寄り、みんとさんを自分の前に呼び寄せ、ロングリードを手元に手繰って、通過する方のお邪魔にならないように静止していることにしています。
スピードのあるランナーだと、姿を確認してから横を通過するまでは短時間なので、みんとさんが「”おいで”」と呼ばれたら即行でりどみぃの元に来るように、日々鍛錬しとります。もちろん、戻って来た時にはとっても美味しいごほうびをあげることにしています。
芝生の広場を後にして公園1周の旅に出た直後、先程のおじーさんが前から歩いて来て、「うちのやつ見なかった?」なんておっしゃるじゃーありませんか!
何でも先だってお姿を見かけた直後に知り合いの犬の飼い主さん達と立ち話となったものの、いきなりダックス君が駆け去ったというのです。何が原因なのか不明で、おじーさんは「猫でも追いかけたのかなぁ」とのこと。この公園にはあちこちに野生の猫がいるので、それもありうる話。「前にも1時間位したら戻って来たんだよ」とも。
しかとは確認しませんでしたが、どうやらいつものようにリードを外していたようです。
「前にも猫追っかけて行っちゃってさ」と過去の情報も提供され、おじーさんは先を急いでダックス君の名前を呼びながら去って行きましたが、りどみぃもダックス君がどこにいるやら心配で、みんとさんと公園内を探しながら歩くことにしました。
おじーさんとダックス君は、この日、公園の東出入口までバイクで来て、付近に駐車してから園内をお散歩していたそうで、「バイクの所まで戻ってるかもしれないなぁ」と仰っていましたので、東出入口方面を歩く時には草がかさかさしないか、姿が見えないかと思いながら行き、園内でも野生の猫が複数見られる場所まで行ってみる等もしてみましたが、手掛かりはありませんでした。
そうこうする内にも夕方のわんこのお散歩時間となり、たくさんの飼い主から情報が伝えられて行き、園内一斉捜索の様相を呈して来ました。
おじーさんは、ご自分が着ていたスポーツウェアの上着を遊歩道がT字路になっている交差点近くに置き、「上着の匂いでそこに居てくれるかもしれないから」。
この“脱走ダックス事件”、意外な解決を見ました。
おじーさんが公園内を捜索していた時、ダックス君は既に家に戻っていたのです。
それも、公園をお散歩中にダックス君の失踪を知った別の犬の飼い主さんが家に帰る途中に行き会った犬の飼い主さんへ情報を伝えるというネットワークが機能し、公園から出て車が通るような道を悠々自適に歩いているダックス君をそのまた別の飼い主さんが発見し、後を全力疾走で追いかけて身柄確保の上にお家に届けるという素晴らしい連係プレーがあったそうな。
そして、その「お家に戻ってますよ」と言う情報も、同じ方法で公園までもたらされて来たのでした。
「あっちに行ったわよ」と情報提供してくれた町角の目撃者、全力疾走で確保に努めた方、公園内で捜索し情報を伝えた犬の飼い主さん達・・・たくさんの人の努力があり、ダックス君は無事だったのでした。追いかけた方の目撃談によれば、車の方が停まってくれた事でダックス君が無事に横断出来た道路もあったとか。停まってくれなかったらと想像すると怖いです。
おじーさんは、三々五々集って捜索の報告をしあっていた犬の飼い主達にお礼を言って帰って行きましたが、捜索から解放された飼い主さん複数からは、驚くべき情報がもたらされました。
あの人、しょっちゅうだよね・・・(‐"‐;)
ダックス君がおじーさんの元から脱走するのは、今までにも何度もあったそうで、その度に捜索が行われているとのこと。おじーさんが呼んでもダックス君は行かないので、「放さなきゃいいのに」というのが一般的な感想ですが、面と向かってそうそう言えるもんじゃない為、今日に至ってしまったらしい。
りどみぃとしても、
呼んでも来ないような犬を、よく放せるなぁ(・◇・;)
と事実を知ってびっくりです。
おじーさんが使っているのが何メートルのフレキシブルリードなのかはわかりませんが、製品によっては5m~10mはリードが伸びるのだろうから、首輪からリードを外さないでお散歩してもらいたいものだと思った、リアルタイムで経験したダックス君の脱走物語でした。
5mと10m、7mの延長用も持っています
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